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2012/01/05 / phonda

2011年の映画ベスト10

映画はほとんどDVDの発売日が2011年であるものを「2011年作品」として、同作品を3回以上くり返し観賞したものだけを対象に10本選びました。

コメントは短めに書いたつもりなのに、10本分となると長い。読みにくいぜ!

10位『君と歩こう』(石井裕也)
突拍子もないコントのような話なのだけど、あり得る・得ないという感覚でのリアリティって、もう崩壊してしまっているわけで、人生経験を重ねるほどにこういう話のほうがリアルだなと感じる。「逃げるなら後ろ向きに逃げんな」というセリフがじつは重要で、ちゃんと観るとくだらないのに泣ける。謎のダンスシーンは意味不明だけど、嫌いじゃない。

9位『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団~はばたけ 天使たち~』(寺本幸代)
震災前に観た最後の映画で、僕の幼少期におけるバイブル『鉄人兵団』のリメイク作品。旧作をはじめて観たときは数日間ボーッとしてしまって、フィクションの世界に本気で感情移入したのを強烈におぼえている。劇場だと最初のほうは子供たちがゲラゲラ笑っていて、徐々に静かに、最後は大人が泣いているという流れが「あー、ドラえもんだなあ」という感慨へ。

8位『泥棒日記 / ムーの男 小林でび作品集』(小林でび)
インディーズムービーと言われるとアングラな雰囲気を予想して身構えてしまうのだけど、この人の作品は1作ずつキャッチーなアイデアが必ずあって、どれも面白い。日常のふとした違和感などから着想を得るらしく、根底にあるシンプルなテーマのまま、どんどん変な世界になっていく漫画的なエスカレートの仕方が気持ちいい。くだらないのが、なお素晴らしい。

7位『冷たい熱帯魚』(園子温)
休む暇もなく画面を叩きつけてくるし、残酷なシーンもたくさんあるのになぜか爽快で楽しくすらあり、自分のなかにある暴力性が満たされるような背徳的な面白さがある。この作品と『愛のむきだし』『紀子の食卓』を園子温監督の三部作としてもいいはず。実際にあった殺人事件なので不謹慎にも感じるけど、でもそれが映画の役目だろうとも思う。

6位『あぜ道のダンディ』(石井裕也)
すごく普通の話で、テレビドラマばりのベタな演出もあるのだけど、直球の投げ方にその人が出るんじゃないかなと最近は思う。変化球ってそれ自体が言い訳の役目も果たしてくれるし、じつは安全牌なのでかっこ悪く見えることもある。そこにきてこの映画の主人公、おじさん「宮田」の姿は情けないがド直球でかっこいい。石井監督作品は笑えて悲しいものが多い。

5位『まほろ駅前多田便利軒』(大森立嗣)
とにかく会話が面白い。人と人との距離感がいい。みんな勝手に孤独で、話される個々の発言が、分かり合うことを求めていないところがいい。だけど、本当に困って苦しんでいる人のことは助けようとするという、当たり前のルールは破らない。刑事(岸辺一徳)が主人公(瑛太)に釘を刺す言葉は厳しく重いが、それは彼を救ったと思う。よく笑いよく泣いた映画。

4位『私の優しくない先輩』(山本寛)
観た回数では10本のなかでもトップ。そのせいで体感的に2010年に観た映画だと錯覚していたほど。虚構と現実を暴くための冷めた主人公のメタ視点は、テクニカルだとは思うけど、あらゆるフィクションについて回る必然的な感覚であり、もはや避けることはできない。じゃあどうすればと、その先を感情的に暑苦しく描くクライマックスが超好き。ヤマカンは天才。

3位『マイ・バック・ページ』(山下敦弘)
地味な映画。しかしそれは、初見のインパクトやストーリーの意外性に頼ることなく、腰を据えて落ち着いた「映画」を撮っているという信頼感につながる地味さでもある。全共闘運動の時代の空気は、ソーシャルメディアバブルの現代の空気ともよく似ていて、すんなり入り込めた。僕も歳をとり、映画でよく涙するようになったけど、「男が泣く」のは大事ですよ。

2位『春との旅』(小林政広)
よく練られた脚本だとか、演出の善し悪しだとか、そういうものを求めて映画を観ることに虚しさを感じることがある。そういうときに触れる「日本映画」の持つ豊穣さというものは、やはり格別なものだ。僕はできればこういう映画をたくさん観たい。長回しのカメラと、自分の分かる言葉だけでいい。演技も撮影も、小手先の技術ではできない芸当ばかり。圧巻です。

1位『映画けいおん!』(山田尚子)
ここまでの9本がまるでお膳立てになってしまうくらい、僕にとって全部入りの1本。批判的な批評もいくつか見て、映画評として正論なのだけど、『けいおん!』の感想としては野暮なことを言っていて、映画ファンの面倒臭さを感じた。僕の場合は『けいおん!』が好きすぎて擁護目線になっているとはいえ、差し引きしても最高だった。文句なしに2011年度の第1位。

番外編:洋画

洋画は正直、「字幕なんか読んで本当に演技とか分かってんのか俺は?」という感じで、年々観るのが億劫になっているので番外編という扱いへ。

『SOMEWHERE』(ソフィア・コッポラ )
単館系おしゃれ映画の気配が漂っていたので思いっきり警戒して観賞した。冒頭の長回し映像からいきなり面白くて、おしゃれを通り越して厨二をこじらせまくってるところが大好きな映画。自分に娘がいなかったらクソ映画だと思ったかも。

『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン)
セリフも少なく、きれいな町並みと、人々を執拗に観察する無駄にイケメンな主人公の男が、ただひたすら淡々と映されるだけ。小説は文章から映像を想像するものだけど、その逆で、映像から文章を想像するような映画で、すごく面白かった。

『グラインドハウス U.S.A.バージョン プラス』(クエンティン・タランティーノ、ロバート・ロドリゲス)
レンタルで観た『デス・プルーフ』が爆笑するぐらい面白かったので、やっと完全版になって発売されたという曰く付きのブルーレイを購入した。このどうでもよさと画面の粘着質なテンションは何なのか。執念としか思えない。

『映画けいおん!』は劇場で公開中。それ以外は、だいたいどこのレンタルビデオ店にもある作品なので、未見のものがあればぜひとも。

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