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2011/10/25 / phonda

「ロックンロールと五人の囚人」

経験や体験について、「塵も積もれば山となる」ことはなく、塵は積もってもただの塵だと、糸井重里さんが言っていた。

では、これから話す、塵ではないが山にはならないものは、何になるだろう。

とっくに時効だが、まだ僕が音楽をやって放蕩していたころ、後輩と一緒に、あまりダイレクトに名前を出すことができない乾燥させた植物を、理科の実験道具のようなもので吸った。

今も昔も、僕はたばこを吸わないので、肺が煙に慣れていなかったのかもしれない。まるで変化が現れず、追加して大量に吸ったが、それでも僕だけが平常なのであった。

プリンが異常なまでに美味しいと上気してさわぐ後輩たちと、座ってマンガを読んでいる僕。飲み物がなくなり、お茶を買いに行こうと席を立ったら、体ごと宙に浮いた。

部屋全体が球体になり、僕は空中に浮かんで周囲を見渡しているのだが、同時に、さっき読んでいたマンガの内容の続きも入ってくるし、視点を切り替えるだけで、遠くにあるものの細部が見える。

話に聞いていた症状とぜんぜん違うので、これがそうかと確認したかったのだが、笑い転げている後輩たちに、何からどう話せばいいのか分からず、とりあえずプリンを食べてみた。

いつも食べている、ただのプリンだった。

<つづく>

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