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2011/02/24 / phonda

黒くぬれ

ヤマザキ君の話をしなければならない。

僕の卒業した高校は普通科だが、国語の授業が4つあり、教科書や文学だけでなく漫画も読まされた。

森鴎外の『舞姫』と、江川達也の『東京大学物語』が同時進行で読み解かれ、『ドラゴンボール』の「かめはめ波」を論述するテストが行われる学校。

油断をしていると、現代社会のテスト問題が白紙で配られたりもするので、新聞も読まなくてはならない。

そんな環境なので、気がつくと自発的に文章を読み、文章を書くようになっている。

ある日、バスケット部に所属していたヤマザキ君は、練習が忙しく提出物の作文を忘れてきた。

原稿用紙の枚数制限は、15枚以上。すぐに書けるわけがなかった。

数人で分担する作戦も提案されたが、字でバレるし、破綻するので却下。結局、彼は他の授業を受けながら、黙々と書くしかなかった。

時間は待ってくれない。国語の授業はすぐに始まった。先生が提出を促す。

神までもがゲームオーバーを確信したそのとき、彼は顔を真っ赤にして叫んだのである。

「おらぁああああああああああああっ!!」

叫びながら、ものすごいスピードで原稿用紙のマスを「~」で埋めていた。

原稿用紙のルール、完全無視。衝撃的だった。

バスケットならば15ポイントに値する、あの超ロングシュートを、僕は今でもスロー映像で思い出す。

シュートはもちろん外れたのであるが。

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