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2011/02/22 / phonda

クレイジー・タクシー(前編)

かつて、僕が最短記録「2時間」で辞めたアルバイトの話。

その当時、何もかもが退屈で、これを言うと知人には時期が特定されてしまうが、髪を白に近い金髪にしていたころ。とにかく退屈で退屈で仕方がなかった。

そんなところ、求人広告にインパクトのある見出しを見つけた。

「女の子を車で運ぶ仕事です」

凍った。シビレた。僕は頭のなかで、執事のような恰好をして、高級車を運転していた。道中、後部座席のお嬢様に呼び捨てにされて世間話をするのだ。

「はっはっは、お嬢様にはかないませんね」かなんか言って。楽しそう!やる!やるぅー!

電話をした。面接は、なぜか夜の公園を指定されて、そこへ行くと黒光りの高級車がやって来た。ふむふむ、思ったとおりだ。

しかし、もうお分かりだろう。僕の期待を裏切り、車からはコードナンバー「893」の怖い感じの人が降りてきた。

マンションのようなところへ連れて行かれ、簡単な説明を受ける。隣室では、女子たちがポッキーや珍味のようなものを食べて騒いでいる。

893「今日は車で来たんだっけ? すぐ始めちゃう?」

<つづく>

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