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2011/01/26 / phonda

異世界の車窓から

気まずい状況というのは、自分が作り出しているのか、それとも降りかかる災厄のようなものか。

誰もが一定数は巻き込まれているが、気に留めないか、また、留めたとしても的確な対応をすることで円滑に回避するので、結果として気に留めるほどのことではなくなるのか。

いずれにしても、僕はそれを回避するのが下手なので、気まずい状況ばかり積み上げてしまう。

何年前だったか、それはある日のことだ。

仕事中に職場のリーダーが社員全員に集まるように呼びかけ、そのリーダーを囲むようにしてみんな集まっていく。僕は真っ先に内側に集まるようなタイプではないので、外側のほうになんとなく立っている。

すると、清掃スタッフのおばさんが背後から僕のところへやって来て、どういうわけかパックに入ったコロッケを1つ取るようにすすめてくる。あったかいから、美味しいからと。

ここで断るのは人道に反していると僕は思う。だから素手でコロッケを1つもらう。が、リーダーが話している途中なので、そのコロッケをそのまま食べるわけにはいかない。

結果、素手でコロッケを持って立つ謎の人になってしまうのだが、やがてリーダーの話が終わる。各自が作業に戻るため散っていく。

このとき、どんなにカジュアルを装っても素手でコロッケを持っている人間はおかしい。目立つ。歩きながら急にコロッケを食べているのも変だ。ポケットに入れることも一瞬だけ考えるが、あまりにも未知数すぎる。

僕とニーチェが同時代に生まれていたとしたら、絶対に僕のほうが先に「神は死んだ」って言っていたと思う。キリストだって磔にされるより、素手でコロッケを持って立たされたほうがツラかっただろう。

最終的に僕はトイレに行くように見せかけてその場から遠ざかり、物陰でコロッケを食べたのだが、その状態でさらに誰かに遭遇する危険性もあったのだな……と考えるだけで体温が5℃下がる。

もっとスマートな方法はなかっただろうか。考えても考えても、僕には分からない。

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