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2010/08/05 / phonda

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あらためて「初音ミク」は面白くて重要な存在だと思う。

僕も最初は「萌え」な印象が強くて、よく分からない存在でしかなかったのだけど、有名な『メルト』という曲を耳にして「いい歌だなー」と思ったのが最初のちゃんとした出会い。今では当たり前のように曲を聴くようになって、好きな曲もたくさんある。

コンピューターやテクノロジーは、あらゆるものを再現し、人間の能力を拡張する道具として急速に進化してきた一方で、使う人間が追いついていない部分も顕著に表してきた。それが初音ミクを通すことで見える。

10年以上前、僕が学生の頃に読んだ本のなかに「アトムからビットへ」という提唱があったのを覚えている。そこでは、より本物のようなギターの音を再現することではなく、たとえば、水でできた管楽器の音を鳴らすようなことが、テクノロジーの進むべき道だ、というような事が話されていたと記憶している。

じつは僕もその本のことはすっかり忘れていたのだけど、初音ミクの歌を聴いたときに、「ああ!あれってこういうことだったのか!」と思い出し、やっと実物が登場したことに歓喜した。

初音ミクは、新しい楽器でもあり、キャラクターでもあり、歌手でもあり、アイドルでもあるという、謎の存在である。その「何者でもない」感じに僕は惹きつけられる。そしてその魅力はまた、混乱も生み出した。

たとえば、初音ミクの歌っている曲が著作権協会に登録され、収益が出た場合に、「作詞・作曲」はいいとして、「編曲・歌唱(演奏)」はどのように印税が支払われるのか。初音ミクは「楽器」なのか「歌手」なのか。「楽器」であれば演奏者に支払われるべきであろうが、「歌手」であれば…誰に?

メーカーが「キャラクターや、声を提供した声優を傷つける可能性がある」として、「公序良俗に反する歌詞」を禁止していることから、これは初音ミクが「人格」をもつことと同義ではないか、という考えもあるらしい。大げさではあるけど、僕はそういう考え方は好きである。

これでもし、初音ミクが人工知能をもつようになり、作詞・作曲まで自分でするようになったら、どういうことが起こりうるだろう。僕はとても期待している。

人間とは何か。音楽とは何か。

最後に残るのは人間の「祈り」で、初音ミクはその結晶だと思う。

だからパンツ見えた!とか言って喜んでいてはいけないのである。僕が。

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