スクラルファート戦記
胃薬を買いに、ドラッグストアへ行った。
実際のところ、胃が痛いのかどうか、金縛りになったことのない人が、その「金縛り」状態を金縛りだとは思わないように、本当に自分は胃が痛いのか、自信のないまま、胃薬を買いに行った。
薬はレジの内側、店員の背面にズラッと並んでいたので、手っ取り早く、質問することにした。
「胃薬ってどうやって選んだらいいですかね」
「そうですねー、好みですね」
即答だ。そうか、好みなのか。なるほどねぇー、ほうほう、好みなんですね、あ、なるほどやっと理解できた。
って言うわけねえだろうが!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
互いに、無言で4秒ほど固まっていると、店員にうながされる。
「どうぞ、中入っちゃっていいんで」
「え? あっ、じゃあ」
超アホみたいな言い方で、「え? あっ、じゃあ」とか言ってしまったことを悔いながら、するするっとレジ内に入らせてもらった。そのとき、急にお客の列ができ始め、店員はレジ打ちに戻り、僕だけが浮遊状態で放置された。
あーーーーーーっ! またやってしまった。ハメられた。
ここまでの流れを知らぬ人が見たら、どう見ても僕は、「店のシステムが分かってない野蛮な人」ではないか。レンタルビデオ店で「パッケージごと10本ぐらいレジに持ってきてしまう蛮族」ではないか。
狭いレジのなかで、自分を呪った。
そして胃のあたりにリアルな痛みを感じ、これはやっぱり胃痛であると確信したのである。
